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タイトルなんてつけられ…あれっ、なんだっけ? その13

琴子のお誕生日。
もう一つ妄想したものがあるでそちらをこっそりと気付かれないようにアップ。

お誕生日を祝うに全く相応しくない、ほんわかしない&イラストじゃないver.です。
(年齢制限、という意味ではないです)(でもそういう意味のも見たい←)
言うまでも無く相変わらずの駄文。そして今回は陰。
それでもいいから読んであげる、ほら見せてみなさい、という方のみ追記からどうぞ。
タイトルなんて大それたものつけられるわけがない たぶんその13


お父さんとこの家を出ようと決めてから数日。
あたし達は静かにその準備に取り掛かっていた。

お父さんは引越し先の物件探し。
あたしは引越し先へ運ぶ荷物の整理。

入江家のみんなはもうそれぞれの寝室へ戻っている。
入江くんはお仕事で明日までは戻らないと聞いた。

この家で過ごす残り少ない時間。
少しでも長く入江くんのと一緒いたいと思う自分と、会えなくて済むことにほんの少しだけホッとしてしまっている自分がいた。

みんなが寝静まった後、気付かれないように少しづつ準備に取り掛かってはいるけれど、この家で過ごした思い出のたくさん詰まった物たちを簡単にダンボールへ詰め込めるわけがなく、ひとつ手にとっては視界が歪む、そんなことを繰り返していた。


今日もただ眺めているだけであっという間に時間が過ぎる。
ハッと気が付いて時計に目をやると今日に終わりを告げようという時間になっていた。
もうすぐお父さんが帰ってくる。
あたしは手に持っていた暫く着ることのない夏服を箱に何枚かダンボールに詰めこむと、荷造りを諦めてお風呂に入ることにした。


お風呂に入ってる間もさっきダンボールへ詰め込んだ荷物のこと、そして入江くんのことを思い出す。
あの服にもこの服にも、入江くんと、入江くんの家族と過ごしたたくさんの思い出がいっぱい詰まってる。
…そしてまた視界が歪む。

いつまでもこんなことじゃダメだ、こんな状態じゃお父さんにまた辛い思いをさせてしまう。
もう決めたことなんだから、とブンブンと頭を振ってお風呂を出た。
長風呂で少し火照った体を少し冷ます為に洗面台でもう一度顔を洗っていると、玄関からガチャリと静かに鍵を開ける音がした。

お父さんだ。
あたしは脱衣所を簡単に片付けると、余計な心配をさせないように勢いよく扉を開けた。


「「うわぁッ!」」


お互い驚いて思わず声を出したけれど、深夜という時間帯のことを思い出して慌てて口に手を当てた。


目の前には、お父さんではなく仕事で明日まで戻らないと言っていた入江くんが立っていた。


「バッ…お前、驚かすな!」

「え、いっ、入江くん…?ごめ…あ、おっ、おかえり。お仕事終わったの?今日は戻れないんじゃ…」

「…え?あ、あぁ……なんだよまだ起きてたのか」

「あ…うん、色々準備してたらお風呂が遅くなっちゃって…」

「…準備?」

お父さんと入江家を出ると決めたのは数日前のこと。
おじさんが退院したばかりなこともあって、まだこの家を出ることを入江家のみんなには伝えずにいた。

「あ、あー、えーっと…そう、こ、衣替えしてて…」

「ふぅん、こんな時間まで、ねぇ…」

時計に目をやった入江くんの表情が、心なしか険しくなった。

あ…時計…あたしがクリスマスにあげたの、使ってくれてるんだね。
気に入ってくれたのかな。

そんな嬉しさと、険しくなった入江くんの表情にあたしの気持ちはまた翻弄される。

「い、入江くん、明日も会社で早いんでしょ?お風呂、今追い炊きしたばかりで温かいから入るといいよ。
お父さんももうじきお店から帰ってくるだろうから…あっ、それより何か食べたほうが…キッチンにまだ何か…」

あたしはどうやって入江くんと接したらいいのか分からなくて、頭に思い浮かんだことを一方的に次々と話しかけた。

「…済ませてきた。それより風呂、入りたいからどけよ。」

入江くんの冷たい口調にあたしの心はまた小さく軋む。
いつにも増して抑揚のない、酷く冷たい声。
それに、さっきから全然入江くんと目が合わない…

「あっ、ご、ごめん…じゃ、じゃあおやすみ…」

逃げるように入江くんの横を通り抜けたとき、
ほんの微かにだけれど、ふわりと花のような甘い香りがした。


人工的だけれど、とても女性らしくてやわらかい香り。

そして何よりも残酷な香り----


一瞬、あたしの心と体を何かが突き抜けるような痛みが走った。
同時に、蓋をしたはずの感情が隙間から再び溢れ出す。


「お仕事」じゃないじゃない…

「明日まで帰れない」って…そういうこと…


あたしの視界が再び歪む。
お風呂で温まったはずの体が急激に冷たくなっていく。



入江くん、さっき「こんな時間まで」って言ったけど

じゃあ入江くんは「こんな時間まで」何してたの-----------



考えちゃダメ。
本当はわかってた。
ちゃんと分かってたことじゃない。

ああ、歪んでるのはきっと濡れた髪の毛のせいね。
最後に水で顔を洗ったのもいけなかったのかも。
床を濡らしてしまわないように早く部屋に戻って髪を乾かさなくちゃ。
明日…違う、もう今日、だ。
今日のためにいつもより念入りにお手入れをするの。
美容院で薦められたミスト状のトリートメントをして、
朝、目が覚めたらあたしの髪はいつもよりサラサラでツヤツヤなの。
あっそうだ、このあいだ買ったばかりのワンピース、デビューさせちゃおうかな。
あれにはどんな髪型が似合うかな。

どうでもいいことを頭をフル回転させて考えて、少しだけ早歩きで。

ようやく階段に辿りついて、その手すりに手をかけたとき、


「琴子」


不意に名前を呼ばれた。

さっきまでの冷たい声と同じようで違う、入江くんの声が低く響く。

あたしの心臓は跳ね上がる。

それは嬉しいから?それとも怯えてるから?

「は、はいっ!」

こんなぐちゃぐちゃの感情を悟られたくなくて、
あたしは入江くんの表情を見るのが恐くて振り向かずに返事をした。


それなのに入江くんは何も言ってこない。


「…?」


あたしは溢れてこようとする雫を零してしまわないよう、それを入江くんに気付かれないようにそっと振り返る。

入江くんの顔の辺りはちょうど影になっていて、表情は分からない。

だけど、入江くんがこっちをまっすぐ見ているのだけはわかる。


…少しだけ、恐い。


「な、なに?まだ何か…」


どうかあたしの表情も感情も入江くんから見えていませんように。
そう祈りながら気丈に声を絞り出す。


「……おめでとう。」

「…え?」

「誕生日、だろ。今日。」

「……お…覚えててくれたんだ…」

「俺は一回聞いたら忘れないんだよ。」

「そ、そっか…」


ゆっくりとした入江くんの声があたしの体に響く。

今まで聞いたことがない声。
あたしが大好きな、大好きな入江くんの声。
やさしく響くその声は、あの深夜の病院でふんわりと抱きしめてくれたあの時の声に似てる。
だけど、それよりももっと…



入江くんは今どんな表情をしているんだろう。


あたしは今どんな表情をしているんだろう。



ここからでは分からない。
近づいて、確かめたい。
「ありがとう」って抱きつきたい。


だけど…


「…いちばん…」

「…何?」

「…何でもない…」

「…ふぅん」


誕生日、覚えててくれた。

初めて一番最初に入江くんにおめでとうって言ってもらえた。

誰から言われるよりも嬉しいその言葉を。

去年と同じように、あたしをまっすぐ見て。


それなのに…


嬉しいはずなのにどうしてこんなにも…


「……え、えへへ…め、めずらしいね、入江くんがこんな……えっと、ありがと…う、うれし…」


あたしは肩に掛けてあったタオルを頭からかぶって、髪の毛をゴシゴシと乱暴に擦りながら、出来るだけいつもの口調になるように声を振り絞る。

だけど溢れてくるこの感情を、ボロボロと零れてくるこの雫を抑えきることが出来なかった。

廊下にポタポタと大きな染みを作る。


「…っ…、お、おやすみ…っ!」


あたしは既に眠っているだろうみんなことのことを考える余裕もなく、
バタバタと一気に階段を上がって部屋へ駆け込んだ。

部屋にはダンボール。

あたしは枕に顔を押し付けて声を殺す。




あたし達はもうすぐこの家を出る。


来年、この家にあたしはもう いない。





入江家で過ごす最後の誕生日。


入江くんのくれた最後の「おめでとう」




あたしはどうやってで受け止めればよかったんだろう。





fin





※※あとがき※※

おつかれさまでした…。

いつもコメントをくださるお方から、今年のカレンダーは1993年と同じ曜日だと教えて頂きました。
それは是非とも何かせねば!
ということで93年設定で妄想したけど挫折していたものを倉庫から引っ張り出してもう一度挑戦してみました。
が。
すみません、やっぱり妄想の神様の前髪は掴めませんでしたorz

イラストもそうですが「こんなイメージで書(描)きたい!」と思っても大概自分の思い通りには行かないもので。
書いても書いても自分の文才・絵心のなさと浅学さを目の当たりにするばかり…。
なので私の妄想の大半は自分の理想通りに完成することが出来ず基本お蔵入りです。
なんとか完成にこぎつけても、未だ作品を公開することへの恥じらいというか躊躇いみたいなものがあったりして、なかなかアップまで辿り着かなかったり。
ほんとわたしってめんどくさい…

だけど今年は17年前と同じカレンダー。
こんな作品でもやっぱり陽の目を見せてあげたい。
ということで恥を忍んでアップさせて頂きました。
でも同時に記事を2つアップしてこっちを気付かれないようにしてみたり。
気付く方はいらっしゃるのか、気付いても最後まで読まれる方はいらっしゃるのか…(笑)
見つけて読まれた方は、ラッキー?アンラッキー?(間違いなく後者)
ってラッキー☆と思ってもらえる作品をアップしなければですよね。ほんとすみません。
がんばりたい。がんばります。

ここまでお付き合いくださりありがとうございました。

コメント

はじめまして。

93年設定ではなく、今年の設定であっても通用すると思いますよ。
あの時代はバブルの影響で経営難になったという設定で政略結婚しようとしてましたが、
2009年または今年なら、リーマンショックの影響でしょう。

コメントありがとうございます!

若草智紀さま>

はじめまして。お越しくださり&コメントありがとうございます!^^
なるほど~、そう思うとやっぱり今年って93年と共通する部分が多いですね。あの年と同じ曜日、そして景気…イタキスファンとしてはちょっと感動してしますね。
今年二人は琴子の誕生日をどんな風に過ごしたのかなぁ。この不景気でパンダイがまた経営難になっていないことを切に願います…!

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